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Takada et al. (2023)

 本研究は,多様な環境に生息するウシ科動物を対象に,CTスキャンと骨格の形態計測から,中手指節関節および中足趾節関節の可動性の決定要因を探った研究である.多様な生息地や体サイズを網羅した26種ウシ科動物を検討した結果,閉鎖的な生息地や山岳地帯に生息する種の中手指節関節・中足趾節関節にはより大きな間隙がみられ,より大きな間隙によって指をより大きく広げることができることを発見した.また,このような間隙の大きさは体サイズとは相関しないことを緻密な統計解析を用いて明らかにし,体サイズは関節可動域の主な進化的決定要因ではないことを突き止めた.本研究は,シンプルな枠組みと方法論を用いながら,蹄を持つ哺乳類における肢端形態の機能的意義についての我々の理解を進展させる独創的な研究であり,またウシ科動物の適応進化と多様化についても深い洞察を与えるものとして高く評価できる.以上の理由から,本論文を日本哺乳類学会論文賞候補として推薦する.

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