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2003年度日本哺乳類学会奨励賞

 奨励賞候補者を募集したところ3名から応募があり,2003年9月20日に選考委員会を開催して慎重に審議した結果,本川雅治氏(京都大学総合博物館)と岩佐真宏氏(北海道大学獣医学研究科)が選考されました. 本川氏は食虫類,ことにジネズミ属を中心に系統分類学,生物地理学的研究をされ,その対象は日本のみならず広く東アジアに及んでいます.一連の研究により現在の東アジアの食虫類の多様性を環境要因,ことに標高の影響によって説明することに成功されました.本川氏は本学会においても種名・標本検討委員,英文誌編集委員などとして大きな貢献をしておられます.そしてMammal Study,「哺乳類科学」に16篇もの論文を発表するほか,国際誌にも多くの論文を公表しておられます.
 一方,岩佐氏はおもに齧歯類,ことにヤチネズミ類の系統分類学および生物地理学の研究をされ,地理的隔離の多い日本列島において形態学と分子系統学の不一致など,問題の残されていたこのグループの分類について遺伝学を含む統合的・体系的アプローチにより新しい分類体型構築への方向性を導かれました.そしてMammal Study,「哺乳類科学」に8篇の論文を発表され,国際誌にも積極的に論文を公表しておられます. 選考委員会はお二人の哺乳類学への業績,本学会への貢献度を高く評価し,今後の一層の御活躍を期待して奨励賞を授与することに決定しました.なお選考内規では受賞者は原則一名となっていますが,選考委員会はこの点についても十分に議論を尽くし,喜びをもってお二人を選考いたしました.

日本哺乳類学会奨励賞(第1回)

本川雅治(京都大学総合博物館)
受賞者による研究紹介
岩佐真宏(北海道大学大学院獣医学研究科)
受賞者による研究紹介
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