本研究は，頭蓋の形態形質，体毛の色と模様，そして遺伝学的証拠を総合して，ペルー・アマゾン地域に生息するサキ科のティティモンキーを新種Cheracebus aquinoiとして記載した報告である．豊富なデータ量と多角的な分析により，Cheracebus aquinoiはCheracebus属内で独自の系統を形成していることを明らかにした．ティティモンキーはいまだ分類学的，系統学的に極めて混乱したグループであるが， ティティモンキーの生物地理学と進化についての理解を進展させ，アマゾン地域における霊長類の多様性理解に寄与するものであり，高く評価される．ティティモンキーの将来的な保全施策に対しても重要な知見を提供する点でも評価に値する．以上の理由から，本論文を日本哺乳類学会論文賞候補として推薦する．