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鈴木 圭

 直接観察が難しい,夜行性で小型のニホンモモンガやエゾモモンガの生息地管理に注力し,調査技術の開発や,生息地に必要な環境を明らかにしてきた.これらの成果は,当時未解明であった国内のモモンガ類の生態学的な知見の蓄積に貢献するとともに,希少な野生動物と共存可能な森林の管理方法を提案したことで,野生動物管理学の発展に寄与した.またシカの個体群管理について,メスの選択的な捕獲が生息密度を低減することを実証する研究を通じて,分布の最前線よりも個体群の中心やその周辺で積極的にシカを捕獲することがより効率的な管理に繋がることを示した.さらにナトリウム要求性の性差に基づくメスを特異的に誘引できる手法を開発した.これら一連の研究成果は,我が国のシカ個体群の管理方針の決定に直接的に役立つものである.研究成果を行政のシカの個体群管理施策に反映させられていることからも,今後の哺乳類学と社会との関係性の構築に貢献されることが期待できる.

 職歴の都合により研究業績に一貫性がない点も認められるが,それぞれの立場で常に研究を継続し,着実に研究業績を上げており,特に過去5年の間に筆頭著者としての国際誌論文数が14報と多数の論文を執筆していることや,主にシカの生態について基礎研究から応用研究まで集中的に成果を上げていることは高く評価できる.Mammal Studyや哺乳類科学誌に筆頭著者として複数の論文が掲載されており,また編集に関しても査読も複数こなすなど,貢献度が高い点も評価できる.シカ作業部会への参加など学会活動への貢献も評価できる.

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