人と野生動物の関係に関する研究,特にカメラトラップを用いた生態解明や管理手法に関する研究を精力的に進めてきた.シカの個体群動態に関する研究では,北海道洞爺湖中島において,カメラトラップを用いて,長期的にシカをモニタリングすることを通して,管理捕獲の前,途中,後における個体群動態,特に日周活動性パターンを調査し,管理捕獲の後にはしばらくの間,シカ活動が夜にシフトすることを明らかにした.他にもイノシシの日周活動性を分析し,人の活動との軋轢を調査した研究,豚熱を防ぐ目的で如何に野生イノシシに経口ワクチンを供給するかを議論した研究,人の居住がツキノワグマ,シカ,イノシシの活動に与える影響など,一貫して人と野生動物との間の関係性を探る研究を展開しており,人と野生動物との共生を考える上では欠かすことのできない重要な研究を展開している.学会活動についても,保護管理専門委員会など積極的に参加し,今後野生動物管理の中心的な役割を果たすことが期待される.またアンケート調査など若手育成などの企画にも積極的に貢献している姿勢もプラス評価を得た.