選考理由:研究業績に限らず日本哺乳類学会あるいは哺乳類学の発展に寄与・貢献したこと(特に写真および映像を通じた哺乳類学への貢献)
写真や動画を含めた映像は学術的発見の証拠として認められるため,優れた技術を持った人が,学術あるいは保全上の倫理に基づいて映像を記録し公表することは,哺乳類学を含む学問の発展に寄与すると考えられます.
飯島正広氏は,東京農業大学に在学中,森林性コウモリ類の食性研究を行い,日本哺乳類学会の会員となっています(2020年度退会まで).その後,世界各地や日本国内で撮影を精力的に行い,数多くの写真展,著作物,映像等を通じて,野生哺乳類の本来の姿を伝える普及に貢献してきました.なかでも「ダーウィンが来た!モグラびっくり地下生活!(NHK)」では5年以上かけた撮影記録に基づいてモグラの生活が紹介され,自作した超小型カメラを用いて世界で初めて撮影したモグラの子育ての動画は,学術的にも貴重な作品として評価されています.
これらの活動を通じて,わが国の哺乳類学と日本哺乳類学会の発展に多大なる貢献をされてきたことから,日本哺乳類学会功労賞にふさわしいと判断しました.