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山田文雄氏

 1953年生まれ.元森林総合研究所上席研究員.現沖縄大学客員教授.山田文雄氏は,国立研究開発法人森林研究・整備機構森林総合研究所の研究者として,野生動物の生態と保全管理の研究に40年近く従事し,多くの研究業績と研究プロジェクトを展開してきた.特に,ウサギ類の研究では基礎生態や対策研究を発展させ,日本の哺乳類学および保全生態学に大きく貢献した.また,奄美琉球における希少哺乳類研究と外来哺乳類対策研究のパイオニアとして,新たな研究領域を確立し,その後の保全研究や行政の対策の礎を築いた.奄美大島において世界最大規模で展開されているマングース対策は,対策開始から20年余りが経過し,根絶間近という世界が注目する成果に至っている.これは山田氏のアマミノクロウサギ保全研究や,関係省庁への働きかけなどの尽力なしには成しえなかった.またオキナワトゲネズミの再発見など,当該地域の保全の道筋に大きなインパクトを残した.これらの研究を通して,外来種,希少種研究にたずさわる数多くの人材を生み出し,それらの研究者が次世代のリーダーとして哺乳類学の牽引を始めている.
 山田氏は,数多くのアウトリーチ活動も積極的に実施してきた.中でも特筆すべきは,わが国で最初の外来哺乳類研究の国際会議(CSIAM2008)の企画であり,わが国と世界の外来種研究者の連携体制を築く中心的な役割を果たした.また,「日本の外来哺乳類(東京大学出版会,2011年)」は,日本の外来種問題の現状と管理の道筋を広く普及させる重要な資料となっている.
 日本哺乳類学会においては,監事,理事,和文誌編集委員長,哺乳類保護管理専門委員長などを歴任するなど学会の運営に献身的に尽力してきたほか,国内,国際大会の実行委員として運営に貢献した.哺乳類保護管理専門委員長(2012-2018年の6年間)として希少種保全や外来種対策,公園管理,鳥獣保護管理などの各種要望書やパブリックコメントを多数発出し,関係行政機関における日本哺乳類学会の信頼性と影響力の向上に大きく寄与した.また,和文誌編集委員長(2005-2007年の3年間)として,日本の哺乳類学の学術的発展を支えてきた.山田文雄氏は現在においても,国際連携,研究教育活動,学会活動,保護管理の現場と連携した普及啓発活動に精力的に取り組んでいる.

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