CONTACT

中島啓裕氏

 1980年生まれ.2010年京都大学大学院理学研究科博士課程修了.博士(理学).日本学術振興会特別研究員,京都大学大学院理学研究科産官学連携研究員を経て,現在は,日本大学生物資源科学部森林資源科学科助教.日本哺乳類学会には2014年から会員となり,年次大会において口頭発表や自由集会を企画しているほか学会誌の査読などを行っており,本学会の運営に貢献している.
 中島氏は,主にアジア・アフリカ地域の熱帯雨林において哺乳類の生態及び生態系機能について研究を行ってきた.特に,生息地の改変により大型哺乳類が減少した森林における小型食肉目(パームシベットなど)が果たしている種子散布者としての役割を明らかにした研究は大変独創的である.また,カメラトラップ法を用いて個体識別が不必要な密度推定法を確立した研究は,新規性が高く画期的な研究であり,哺乳類の基礎生態の解明および保全管理の分野に大きな影響を及ぼすと考えられる.長期間のフィールドワークを通じてデータを得るだけでなく,統計モデリングを用いた新たな解析手法を開発する研究姿勢は高く評価される.
 これらの研究成果は,25編の原著論文,3冊の著書(単著1,共著2)など,数多く公表されている.また,学会発表も50題(うち国際学会11題)を数え,2015年には日本獣医学会優秀論文賞,2016年には日本熱帯生態学会奨励賞を受賞している.中島氏は,今後の日本の哺乳類学や生態学を支える研究者として大いに期待され,これらの業績とその将来性は,日本哺乳類学会奨励賞に値するものである.

トップ