CONTACT

栗原望氏

 1979年生まれ.2007年名古屋大学大学院生命農学研究科博士課程後期満期退学.同年に博士(農学)取得.国立科学博物館動物研究部支援研究員,山口大学共同獣医学部獣医学科助教を経て,現在は宇都宮大学農学部生物資源科学科講師として研究及び教育に携わっている.日本哺乳類学会には2002年から会員となり,原稿の査読やポスター・口頭発表の審査員などを務め,2016年からは和文誌「哺乳類科学」の編集幹事として,その運営に大きく貢献している.

 栗原氏は,鯨類について標本を重視した自然史研究,特に明瞭な地理的障壁が生じにくい海洋における鯨類の種分化や多様性をテーマとして,分類学的,形態学的研究を行ってきた.また,漂着した鯨類死亡個体の培養細胞を用いた染色体の研究や,鯨類以外についても博物館標本から非破壊的にDNAを抽出する手法の開発を行い,1個体の標本からどれだけの生物学的情報を引き出せるかという課題に取り組んでいる.一方で栗原氏は,自然史科学系の自由集会やミニシンポジウムを多数企画し,その面白さや素晴らしさを伝える努力に努め,大学では熱意をもって教育活動に励んでいる.

 これらの研究は,12編の原著論文や18編の博物館研究報告などの論文にまとめられている.また,学会発表は38題(うち国際学会7題)を数え,一般向けの招待講演についても多数行っている.このように,栗原氏は今後の自然史学を発展させ,日本哺乳類学会を支える新進気鋭の研究者として大いに期待されており,これらの業績とその将来性は日本哺乳類学会奨励賞に値するものである.

トップ