1979年生まれ.2007年北海道大学大学院農学研究科博士課程修了.博士(農学).山梨県森林総合研究所研究員を経て,現在は,国立研究開発法人森林研究・整備機構森林総合研究所研究員.日本哺乳類学会には2010年から会員となり,2015年に第5回国際野生動物管理学術会議(Vth IWMC)組織委員会委員,2016年からは英文誌「Mammal Study」のAssociate Editorを務めるなど,その運営に大きく貢献している.
飯島氏は,哺乳類(特にニホンジカ)の個体群動態,森林生態系に及ぼす影響,さらには個体群管理に関わる基礎から応用まで幅広い研究を行ってきた.特に,大型哺乳類の個体数推定には様々な困難が伴う中で,複数の個体数指標と状態空間モデルを用いた個体数推定法を確立した研究は,個体群生態学及び保護管理学上,非常に重要である.また,哺乳類だけでなく森林全体を俯瞰するという広い視点を有しており,哺乳類と哺乳類によって摂食される植物との関係,植物の生残や個体数に哺乳類の数とそれ以外の要因が与える影響について研究を進めている.さらに,ニホンジカの管理目標を達成する上で重要な,捕獲効率,誘引捕獲技術や被害管理に関する研究も行っている.一方で飯島氏は,研究成果の管理施策への反映や普及活動など社会還元も積極的に行ってきた.統計モデルの和訳書の出版や普及誌への掲載,哺乳類学会のみならず生態学会や森林学会においてもシンポジウムや集会の企画に多数関わっている.
これらの研究成果は,25編の原著論文,2冊の著書,33編の研究所研究報告等の論文として数多く公表されている.また,学会発表も60題(うち国際学会7題)を数え,2006年には第54回日本生態学会ポスター発表優秀賞,2016年には日本森林学会奨励賞を受賞している.飯島氏は,今後の日本の哺乳類学や生態学を支える研究者として大いに期待され,これらの業績とその将来性は,日本哺乳類学会奨励賞に値するものである.