1974年生まれ.2008年琉球大学大学院理工学研究科博士後期課程修了.博士(理学).琉球大学ポスドク研究員,財団法人予防医学協会リサーチ・レジデント等として研究を継続するとともに,琉球大学非常勤講師として教育に携わる.2001年には日本哺乳類学会2001年度大会の実行委員として,また2009–2010年および2014年から哺乳類科学編集委員として学会の運営にも貢献した.
哺乳類,特にオオコウモリ類の生態研究について成果を上げ,2007年にはThe First International South-East Asian Bat ConferenceにおいてBest Poster Awardを,2011年には日本哺乳類学会2011年度大会においてポスター賞を受賞した.
中本氏は,それまでに研究がほとんど行われていなかったオオコウモリ類について,オーソドックスな手法ながら単一動物群の生態研究にじっくり地に足のついた研究を重ね,まずその生活史を明らかにし,そこからさらに個体群の構造,生態系における役割等に発展させるという方法で研究を進めている.それらの成果を15編の論文として着実に公表していることが評価される.また,植物との関連や人間活動の影響の解明といった面で研究の広がりが見えている点も今後の発展が期待される.論文の新規性や短期で成果のあがるテーマが優先されがちな昨今にあって,じっくり構えた博物学的研究は貴重である.環境教育,地域教育,希少種の保全,生態系の保全等の点で成果を社会に還元している点も評価した.これらの業績と研究者としての将来性は日本哺乳類学会奨励賞に値するものである.