Relationships among habitat quality, home range size, reproductive performance and population density: comparison of three populations of the Japanese serow (Capricornis crispus)
- 【題 目】
- Relationships among habitat quality, home range size, reproductive performance and population density: comparison of three populations of the Japanese serow (Capricornis crispus)
- 【著者名】
- Keiji Ochiai, Kayoko Susaki, Takashi Mochizuki, Yasuhiro Okasaka and Yusaku
- 【号・頁】
- Vol. 35, No. 4, Pp. 265–276.
- 【推薦理由】
- 本論文は,長期にわたるニホンカモシカの生態学的研究の集大成的(総説的)論文であります.下北半島,上高地,朝日はいずれもニホンカモシカ研究の基盤を支えてきた代表的なフィールドであり,そこでのデータをもとに解析が行われています.冬期積雪量,行動圏サイズ,繁殖率,個体群密度,常緑広葉樹資源量の相関データは,これまでの着実なデータの集積がなくては得られないものであり,ニホンカモシカの基礎生物学,そして保全問題を議論する際に本論文が果たす役割は大きなものでしょう.本論文では,多くの生態学研究者が常識のように予測すること,すなわち,適度な採食資源の存在下で行動圏サイズが狭くなり,繁殖率が上昇し,さらに個体群密度が増加するというシンプルですが根幹的な結論が実証されています.このことは,生物学的に大切な試行であったと判断でき,今後の大型哺乳類の生態学研究の発展にも寄与するものといえます.