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大泰司紀之氏(シカ類の動物地理と保全に関する研究)

 大泰司先生が行ってきた研究は多岐にわたり,①脊椎動物の系統進化学的・生物地理学的研究,②野生動物の保護管理に関わる保全生物学的研究,③哺乳類を中心とする比較歯学的研究,④出土骨の生物学的検索に基づく動物考古学的研究などを挙げることができます.今回の受賞は,このうち,とくに①と②の業績に関わるものであります. シカ類の生物地理学的研究では,生態学と形態学,分子生物学とを融合させた複合的アプローチを採用し,中国大陸産シカ類の分布状況や種分化の過程を明らかにされました.一連の研究は,定説とされてきたシカ類の系統進化の流れを書き換えたばかりではなく,この地域に分布する希少種(タリムアカシカやクチジロジカ)の学術的価値を証明することになりました.中国との共同研究体制の整備にも尽力され,その成果は日中共同シンポジウムの開催,中国語のテキストや図譜類の出版として具現化されています.
 保全生物学的研究においては,生物学的・社会学的データに基づく科学的な野生動物保護管理の必要性を早くから指摘され,一連の発言や論説は我が国の現行制度(特定鳥獣保護管理計画など)の確立に理論的基盤を与えました.また,国内有数の原生的自然環境を誇る知床半島や北方四島にも注目され,シカのみならず動物相全体の解明と保全を目的とする研究体制を組織されました.この調査を通じ,日本で初めて「コアエリアを持つ保護区案」を提唱されたことは特筆されるものであり,知床地域が世界自然遺産として登録される基盤を確立されました.
 大泰司先生は1964年に北海道大学獣医学部を卒業されたのち,同歯学部ならびに獣医学研究科,酪農学園大学環境システム学部にて上記の多方面にわたる研究を推進してこられました.中・大型哺乳類の研究者育成にもご尽力され,現在この分野で活躍している研究者のほとんどは,大泰司先生による「洗礼」を少なからず受けていると言っても過言ではありません.また,学会活動においても活躍され,1999年から2004年まで3期にわたり日本哺乳類学会会長を務められたほか,IMC9 大会長,日本野生動物医学会理事,野生生物保護学会理事などを歴任し,各学会の発展にも多大な貢献をしてこられました.
 大泰司先生は,現在も「国後島陸棲哺乳類調査専門家交流訪問団」の団長を務めるなど,積極的な研究活動を展開しておられます.したがって今回の授与は,先生のこれまでのご業績を賞するのみならず,これからのご研究のますますの発展をお祈りする側面も持ち合わせておりますことを強調しておきたく考えております.

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