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Spatially heterogeneous distribution of mtDNA haplotypes in a sika deer (Cervus nippon) population on the Boso Peninsula, central Japan

【題 目】
Spatially heterogeneous distribution of mtDNA haplotypes in a sika deer (Cervus nippon) population on the Boso Peninsula, central Japan
【著者名】
Masanobu Yoshio, Masahiko Asada, Keiji Ochiai, Koichi Goka, Kaori Murase, Tadashi Miyashita and Haruki Tatsuta
【号・頁】
33: 59–69.
【推薦理由】
 本論文は,房総半島のニホンジカCervus nippon個体群について,SAMOVA(Spatial Analysis of Molecular Variance)をはじめとする様々な統計的手法を駆使してハプロタイプの分布パターンを分析し,個体群の歴史および個体の移動分散に影響を及ぼす要因について考察したものであります.ニホンジカのハプロタイプ分布に関する従来の研究が北海道および日本列島全体など広域を対象としているのに対し,本研究は比較的狭い地域を対象としている点がユニークであります.限られた地域におけるハプロタイプ分布の詳細を把握することにより,道路のような人工的構築物とニホンジカ個体群との関連を示し,そのための新しい空間分布解析手法を提示していることが評価できる点です.SAMOVA にこう云った狭小なスケールで十分な情報量を持たせることが出来るのか? また,mtDNA が妥当なマーカーであるのか?といった疑問の余地も残りますが,仮に幾つかの問題を含有していたとしても著者らの果敢な挑戦を高く評価したいと思います.遺伝学的解析および空間解析を融合させた本研究の解析手法は,今後様々な哺乳類種においても応用・発展させることが期待され,本論文は哺乳類の保全策の検討および動物系統地理学に大きく寄与するモデル的研究であると考えられます.
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