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阿部 永氏(元北海道大学教授)

 業績の第一は系統分類学的研究で,地理的変異を基盤にした形態学であり,その変異は成長・発育の過程をとおした現象であるという見方で一貫されています.博士論文において,食虫類の分類学的検討を行われていますが,既にこの頃にはその観点は形成されておりました.自らフィールドを歩かれて研究対象を得ることもライフスタイルに昇華され,定年後も一貫しておられます.実験室や飼育研究を軽視されている訳ではなく,エゾヤチネズミを飼育して成長・発育を観察され,歯根形成をもとにした齢査定法を確立されています.次に生態学的研究で生息場所と種間関係を重視され,ネズミ類の種ごとの環境利用の相違を証明されました.またアズマモグラとコウベモグラの関係を長野県の伊那谷で長期にわたって観察し続けた報告も特筆されるものであります.新種記載ではエゾヤチネズミの近縁種として新種の可能性を示唆した論文もありますが,尖閣諸島で九州大学のグループが捕獲保存していたモグラについて,1991 年に新種として発表したセンカクモグラの業績が長く記憶に残るものとなっています.阿部先生の扱った動物種は広範囲にわたり,成果は275編以上の論文となって公表されています.中でも一貫している研究対象は食虫類(トガリネズミ類とモグラ類)であり,齧歯類(エゾヤチネズミ)であります.国際的にもタイのNiviventer group の分類学(Abe,1983),ネパール中部の小哺乳類相とその分類学上の諸問題(Abe,1971;1977)はセンカクモグラの記載論文とならんで,今も注目を集めている論文であります.
 阿部先生は1956年3月に北海道大学農学部をご卒業になり,1997年3月に定年退職されるまで,北海道大学で研究と教育に情熱を注がれ,多くの哺乳類研究者を育成してこられました.また1991年から4年間,1997年から2年間,日本哺乳類学会会長を務められました.その気取らないお人柄は温厚な奥様とともに,小樽のご自宅へ若い研究者やその家族を気軽に宿泊させることなど,今も多くの「若い」信奉者を生んでいることは特筆することにあたることと思われます.阿部先生ならびに阿部先生を支えられてこられました奥様の末永きご多幸をお祈りするものであります.

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