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大隅清治氏

 1930年生まれで水産庁遠洋水産研究所長,日本鯨類研究所専務理事・理事長・顧問を歴任され,日本の鯨類研究を先導されました.また日本哺乳類学会の前身である日本哺乳動物学会の運営にも多大な貢献をされました.とくに日本哺乳類学会に鯨類研究者の会員が多数参加いただいている象徴的な意味は大きいといえます.
 研究業績としては「世界の海洋における鯨類の食物消費量」を発表され,37種の鯨の基礎資源量に基づいて,世界中の鯨類が食す餌(魚,オキアミなどの甲殻類,イカなどの軟体動物を包括する)の消費量を2.8 ~ 5億トンと推定され,日本政府の捕鯨の肯定根拠になっております.一方「Competition for food in the ocean: Man and other apical predators」といった論文ではヒトとの競合の可能性を指摘され,捕鯨の必要性を説いてこられました.調査捕鯨で得られた試料をもとに鯨類の精子,卵子の共同研究を多数発表されております.啓蒙的活動では「鯨研通信」,「海洋と生物」,「漁船」,「明日の食品産業」に執筆し,また「クジラは昔 陸を歩いていた」「クジラ 海を泳ぐ頭脳」「くじら―海の哺乳類」「クジラと日本人」「海と川の狩人たち」(共著)といった著書があります.また「鯨物語」(1999)を朝日新聞科学欄に連載されました.2010には「腹鰭を持つバンドウイルカ-- その学術的価値とは」という論説をビオフィリアに発表され,80 歳を超えてもなお健筆であり,その経歴は特別賞に値するものであります.

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